Dazaifu, Fukuoka

#住宅設計
#FPの家

N様ご家族

家族の時間と
アトリエの時間。

笑ったり、叱ったり、笑ったり、
ケンカして、また仲直りして。

ワンバクざかりの子どもたちがいる
家族の毎日は、息つく間もないくらい忙しい。

ご夫婦には2人の息子さんと2匹の愛犬がいる。

3年目の家、にぎやかなご家族を優しくそっと見守る
居心地のいい家になれているだろうか。

Interview with Sososya client 施主さんを訪ねるインタビュー 晴れの日も、雨の日も。
N様ご家族
「土間」というゆるやかな境界線。

閑静な住宅街にひときわ目を引く一軒家がある。大きな片流れ屋根に入口のドアは二つ。一つは住居、もう一つはアトリエのドアだ。住居側のドアが開き「こんにちは」とあたたかく出迎えてくれたのは、子どもたちのためのアート教室を開いている、Mさん。旦那さんのSさんはカメラマン、時折アトリエで撮影を行っているという。「どうぞ、どうぞ」とお二人に通された玄関は、広い土間になっており、大勢いた取材スタッフをスムーズに受け入れてくれる。その土間がLDKとの境界をゆるやかに区切り、開放的な空間が広がっていた。土間はそのまま庭先へ、アトリエへ、手洗い場やお風呂場へとつながっており、昔ながらの古民家の土間のような、実に理にかなった動線となっている。そこを自由に行き来しているのが、愛犬のスキップとサン。「犬は人につき、猫は家につく」と言われるが、実際は家族の一員としてすっかり家にも馴染んでいる。

N様ご家族
「大好き」がそばにある暮らし

「ここは雨がふってもすぐには気づかないんですよ」とMさん。FPの家は遮音性も高く、外の騒音に悩むことはない。家の中の音も外に伝わりにくい。その日も土間で次男のとものすけくんがバスケットボールでドリブルしていた。「もしマンションに住んでいたら…絶対に1階に住んでます(笑)」。元気いっぱいの兄弟の成長をしっかりと家が受け止めていた。そんなMさんのお気に入りの場所は、ダイニングテーブル。目の前にはリビングで遊ぶ子どもたちやソファにまどろむ犬たちがいて、斜め後ろにはキッチンスペースに置いたMさんお気に入りのアンティークのカウンターシェルフを眺めることができる。このシェルフは、家を建てる前に出会い、Mさんが一目惚れ。家が建つ間、お店の倉庫に眠ること1年、新築ができてようやく日の目を浴びた。「(家づくりの)最初は絵を描いたり、気になるインテリアの画像を集めて考えていたんですが、もうパズルみたいで難しくって。でもこの家具を置くと決めてからは早かったです」。重厚感のあるシェルフを引き立てるかのように空間デザインもシンプルに。大きな窓のおかげで光に満ちた明るい空間へと仕上がっていった。「今、変えたいところ…そうですね…もっとこの家具が目立つようにすれば良かったかなって。玄関あけてすぐ見えるように」と笑う。お気に入りへの愛も日増しに増しているようだ。

N様ご家族
N様ご家族
N様ご家族
仕事とプライベートのスイッチ

「玄関を二つ分けておいて良かったですよ」というのは、旦那さんのSさん。アトリエで撮影の仕事をしている間は、子どもたちは近づかないようにしているのだとか。仕事とプライペートのスイッチの役割をドアが担ってくれている。アトリエには、絵画や工作の道具とMさんが描いた作品などが置かれ、専用の水洗い場もある。「アトリエは絶対つくりたかったんです。今は教室としてここを使うのは週に1回だけですが、ゆくゆくは毎日ここで教室をひらいて、老後はゆっくりと暮らしたい」と穏やかに夢を語るMさん。美術大学を卒業後にMさんは、アートスクールの教師となった。「子どもたちの描く絵が素晴らしくて。自分で描くより、子どもたちの絵を作品にして残したいって思ったんです」。小さな子どもたちが引く線は自由で迷いがなく、美しい。子どもが子どもでいられる時間は短く、そんな時期の貴重な絵を作品にして届けること、それがMさんの天職となっている。教室では、家族を動物に置き換えて描いたり、お花やパンをモチーフにしたりと、生活に身近なものを題材とすることが多い。また絵を描くだけではなく、工作をはじめ、絵を描くためのキャンパスづくり、額づくりなど、絵筆だけではなく時にトンカチを握ることもある。危なっかしくドキドキする側面もあるとは思うが、そんな試行錯誤もアートの一部。様々な生活体験、その全てがアートにつながっていくようだ。

N様ご家族
N様ご家族
家族で、地域で、響き合う暮らし。

3年目を迎えたお庭には、少しずつMさんとSさんが苗を植えて育てた木々が増えてきている。「植えたり、枯らしたり、植えたりですね」と苦笑いするSさんはどこか楽しげ。この日は隣りのお庭の剪定が行われていたが、今日は撮影があると伝えていたからか、N宅からみた見栄えも気にして庭師さんが剪定してくれているという。ちょっとした声かけが暮らしやすさに繋がっていく。近所にはママ友であり設計を担当した想創舎の建築スタッフが暮らしており、子どもたちが互いの家を行き来し合うほどの大の仲良しなのだとか。「暮らす」ということは、一つの住空間で生活をするというだけではない。本当の意味での暮らしとは、家の隣、そのまた隣りとコミュニティーを広げ、地域に根ざしていくということではないだろうか。「お隣りには綺麗な紫陽花が咲いたり、向こうには桜が咲いたり、きれいなんですよ」と笑うお二人の植えた木々もまた、どこかの誰かにとっての借景となってゆく。その日アトリエには週末に予定されている「ねこの譲渡会」を告知するイラストのポスターが貼ってあった。地域に開かれた場所として、素敵な連鎖がここから生まれてきそうだ。

N様ご家族
N様ご家族
家の中でカメラを構えることはないというSさん。基本的に機材は家には持ち込まず、家は家族とくつろぎの場に。部屋には子どもたちの七五三の写真や愛犬の写真が飾られている。
N様ご家族
大工さんからの提案で軒先の天井裏(軒天)にも無垢材の端材を使って仕上げている。外から見ても家の中から見ても木目が美しい。
N様ご家族
一週間前にやってきた保護犬のサン。自分の居場所を見つけて、ひなたぼっこ。素敵な家族と快適な空間を得て安心しきっているご様子。
N様ご家族

家族の時間と
アトリエの時間。

所在地
福岡県太宰府市
竣工年月
2021.1
延床面積
135.80㎡(41.07坪)
1F 92.54㎡/2F 43.26㎡ 
敷地面積
323.84㎡(97.96坪)

これまでの「晴れの日も、雨の日も。」